メディア万華鏡

報ステCMで考えた「企業の社会的メッセージ」の役割

山田道子・元サンデー毎日編集長
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テレビ朝日が取り下げた「報道ステーション」のウェブCMの一部
テレビ朝日が取り下げた「報道ステーション」のウェブCMの一部

 「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかって今、スローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」

 こんなセリフが含まれるテレビ朝日の報道番組「報道ステーション」のウェブCMが「女性蔑視」などと批判され、同局は公式ツイッターで謝罪し、CMを取り下げた。

 ジェンダー問題は「時代遅れって感じ」ではなく、「まさに今でしょう」だ。CM中の「いい化粧水買っちゃったの。もうすっごいいいやつ」というセリフにも、若い女性に対するステレオタイプを感じ、イラッとした。

 テレビ朝日は、ただの番宣ではなく社会的メッセージを発しようとしたのだろう。最近、そんな広告やCMが増えている。

企業広告も変わらざるを得ない?

 「多様性に関するお詫(わ)び 弊社の取締役が、3人のおじさんだった件について」

 日本経済新聞の2月18日朝刊に、こんな全面広告が載った。「弊社」とはソフトウエア開発のサイボウズのこと。同社は広告の中で、かねて「100人100通りの働き方」を声高に叫んできたのに、取締役3人がおじさんで「お恥ずかしい限り」と釈明。次期取締役を社内で募集し、株主会議で報告するという内容だった。

 これは、ちょうど東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗前会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言し、辞任に至るタイミングだった。その機に乗じて、サイボウズは自ら「おじさんばかりはダメ」と、自身の変革を発信した格好だ。

 ヘアケアブランドの「LUX」を展開するユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングは昨年3月、「採用の履歴書から顔写真をなくします」という新聞広告を載せ、大きな…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。