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星野代表が「倒産確率」を社員に知らせたワケ

星野佳路・星野リゾート代表
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料理の配置を工夫するなど感染対策を行った「新ノーマルビュッフェ」=星野リゾート提供
料理の配置を工夫するなど感染対策を行った「新ノーマルビュッフェ」=星野リゾート提供

 観光関連業界は、新型コロナウイルスで大きな打撃を受けています。そうした中、星野リゾートの星野佳路代表は、社員に自社の「倒産確率」を知らせることにしました。その理由とは。星野さんが語ります。

星野佳路の家業のメソッド

 多くの会社では、それぞれKPI(重要業績指標)が設定されていると思います。星野リゾートの場合、普段は顧客満足度と利益率の両立ということになります。利益率は、社員向けの毎月の業績報告で、それぞれの施設について利益、売り上げ、稼働率を知らせています。顧客満足度も、社員は会社のシステムで自分の施設の数値を閲覧でき、他の施設との比較もできます。

 しかし、コロナ禍において最も重要な指標は、顧客満足度でも利益率でもなくなってしまいました。コロナ禍で最も大事なのは「潰れないこと」。倒産せずにコロナ禍を乗り越えることになったのです。

 普段、頑張って集客して費用を節約したら利益率がこうなった。良いサービスを考え、おいしい食事を提供したら顧客満足度がこうなったというのと同じように、自分がさまざまな工夫をしたり、費用を節約したりすることで、倒産確率がどう変化していくのか。それが社員の最も知りたいことであり、それと日々の仕事を連動させなくては、社員が思考停止状態になってしまうと考えました。

社員の「一番知りたい」に応える

 私が初めて倒産確率を発表したのは昨年5月です。その頃、社員の変化が気になっていたからでした。その1カ月前から「コロナ新環境を生き抜く」というタイトルで、毎週のように社…

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星野佳路

星野リゾート代表

 1960年、長野県生まれ。慶応大経済学部卒業後、米コーネル大ホテル経営大学院修士課程修了。91年に星野温泉(現・星野リゾート)代表。温泉旅館だった家業を「世界で通用するホテル会社」にするとの目標のもと、所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略をとり、大きく変貌、成長させた。