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東芝の買収を占う「永山議長コメント」と経産省の関与

今沢真・経済プレミア編集部
東芝が3月に開いた臨時株主総会で、株主に配られた役員配席表
東芝が3月に開いた臨時株主総会で、株主に配られた役員配席表

 英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズによる東芝への買収提案が表面化してから2日後の4月9日。東芝は永山治・取締役会議長の名前でコメントを公表した。永山氏は元中外製薬会長で、昨年7月から東芝の社外取締役を務めている。東芝が提案について公式コメントを出すのは7日の短いコメントに続いて2回目だ。

 永山氏はまず、CVCから「買収・非公開化に関する初期的かつ法的拘束力のない提案書を受けた」と述べ、提案が株式の公開買い付け(TOB)による非上場を目指す内容だったと認めた。

 さらに提案について「資金調達が可能となることなど、多くの事項を条件としている」「投資家とのコンソーシアム(共同事業体)の組成や金融機関からの資金調達を前提としており、その検討には相応の時間を要し、複雑性を伴う」と指摘した。

車谷氏は“前のめり”?

 コメントは、CVCの提案が資金的な裏付けのある本格的なものでなく、法的な縛りのない文字通りの「初期的な提案」だと説明している。非公開化に向けTOBが行われれば約2兆3000億円のお金が必要だ。それが用意できなければ提案は“絵に描いたモチ”になる。

 ある投資ファンドの幹部は「初期的な提案は、我々の世界では日常的にやりとりしている。表沙汰になることはないし、それほどの意味もないことが大半だ」と解説する。

 CVCの提案がその程度なら、7日未明に日経新聞が提案を報じた直後、車谷暢昭社長が早朝に「提案は受けている。これから取締役会で議論する」と発言したのは、“前のめり”の印象を受ける。法的拘束力や資金調達といった問題を具体的に挙げた永山氏のコメントは、東芝の経営陣に車谷氏に…

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経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。同9月から編集部総括。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。