株主になったら

コロナで「株主総会の8日前に会場変更」地裁の判断は

中西和幸・弁護士
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大阪・梅田のビル群。左端が2020年4月に積水ハウスの株主総会が行われた梅田スカイビル=大阪市内で2021年3月30日午前9時37分、本社ヘリから
大阪・梅田のビル群。左端が2020年4月に積水ハウスの株主総会が行われた梅田スカイビル=大阪市内で2021年3月30日午前9時37分、本社ヘリから

コロナ禍と株主総会(4)

 この1年間、企業の株主総会は新型コロナウイルス禍で大きな影響を受けました。なかでも、緊急事態宣言の発令により、予定していた会場が株主総会の開催直前に使えなくなり、それをきっかけに、会社側と株主との対立が裁判に持ち込まれた事例がありました。詳しく紹介しましょう。

 裁判沙汰になったのは、積水ハウスが2020年4月23日に開いた株主総会の事案です。

 積水ハウスの件は、会社と株主の対立に伏線がありました。積水ハウスは17年、東京都内のマンション用地購入をめぐり「地面師」と呼ばれる詐欺師の事件に巻き込まれ、55億円をだまし取られる被害に遭いました。20年4月の株主総会では、その責任を追及して現経営陣の刷新を求める株主提案が前会長らから提出されていました。

 株主提案は結局、このときの株主総会で否決されます。ですが、裁判になったのは総会を開く直前の、会場変更をめぐる問題でした。株主総会は、例年どおりJR大阪駅近くの本社に隣接するホテルの宴会場で開催する予定でした。

会場が「イベント自粛要請」の対象に

 ところが、コロナの感染拡大により4月7日に大阪府にも緊急事態宣言が発令され、ホテルがイベント休業要請の対象になりました。このため会社側は、本社の入居する高層ビルの空きフロアを会場として確保し、同15日に会場変更を公表しました。総会予定日の8日前のことでした。

 これに対して前会長側は「ホテルからもっと前に開催の是非の相談があったはずだ」と主張。「株主への通知が法律に定められた『2週間前』より後で、違法だ」などとして開催延期の仮処分を大阪地裁に申し立てたのです。

 地裁…

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中西和幸

弁護士

1992年東京大学法学部卒。95年弁護士登録。上場企業の社外取締役、社外監査役を務め、企業法務に詳しい。共著に「会社役員の法務必携」(清文社)、「企業法務からみた株式評価とM&A手続き」(同)、「『社外取締役ガイドライン』の解説」(商事法務)、「企業不祥事インデックス」(同)など。