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“昭和の名残” 新幹線から「公衆電話」が消える

土屋武之・鉄道ライター
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東北新幹線E5系の列車公衆電話
東北新幹線E5系の列車公衆電話

 JR5社とNTTコミュニケーションズが、新幹線内の公衆電話サービスを2021年6月30日までに終了すると発表した。JRの在来線特急や私鉄各線では12年3月にすでに廃止しており、今回をもって日本の列車内から公衆電話が消える。

 街中から公衆電話が消えつつあるのと同じく、列車内の公衆電話も利用者が激減し、採算が取れなくなって久しい。このタイミングで終了となったのは、新幹線沿線の携帯電話アンテナ網の整備が、トンネル区間を含む全線で完了したからだ。非常事態が起き、青函トンネルなどの長大なトンネル内で列車が停止してしまっても、外部とのやり取りが携帯電話で随時、可能となった。

かつては「電報」が一般的

 列車内と外部との連絡手段は、1970年ごろまでは電報が一般的だった。そんな中、1957年に近畿日本鉄道(近鉄)が特急列車内に公衆電話を設置し、外部とのリアルタイムの連絡が日本で初めて可能となった。60年には国鉄の特急「こだま」「つばめ」にも電話が設置され、黒澤明監督の映画「天国と地獄」(63年公開)にも登場して世に知られた。

 この列車内電話は新幹線(64年開業)に受け継がれ、通信方式を変えつつ現在に至っている。いずれも「最上級列車の旅客サービス」ではあったが、新幹線などには長時間、無停車の区間があるため、「乗客のための緊急連絡手段」とも位置づけられていたと考えられる。

 また、80年代にはテレフォンカードの導入により、カード専用・発信専用の公衆電話が在来線特急にも普及した。阪急6300系など、特別料金不要の特急形車両に電話を取り付ける例が現れたのもこのころだ。

携帯電話の普及で需要激減

 しかし90年…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。