イマドキ若者観察

コロナで「1年遅れの入学式」大学生は何を感じたのか

藤田結子・明治大商学部教授
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今春、多くの大学は新2年生向けに1年遅れの入学式を行った=東京都内で
今春、多くの大学は新2年生向けに1年遅れの入学式を行った=東京都内で

 昨年度、新型コロナウイルス禍で大学に通えなかった新入生の様子がたびたび報じられました。この春、複数の大学で、新2年生を対象に1年遅れの入学式が行われました。彼らは一体、どのような心境でこの日を迎えたのでしょうか。現役学生が取材しました。

大学には入学したけれど

 「やっと大学に入学した感があった。これまで入学はしたけれど、本当に大学生なのかなと思っていた。入学式で校歌も聞いて、ようやく大学生になったと実感した」

 昨年度、大学の講義の大半はオンライン授業でした。数少ない対面授業も少人数で行われたため、キャンパスに人影はまばらでした。1年遅れの入学式で多数の学生が一堂に会したことで、初めて大学というコミュニティーを実感できたようです。

 一方で、悔しさをにじませる学生もいます。新2年生の萌さん(仮名)は、こう言います。

 「今さら入学式をやってもな、と思いました。それに、新1年生の大学生活はこれからだけれど、私たち2年生は何もないまま1年がたって、大学生活も残り3年しかないのが悔しい」

消えたキャンパスの「よっ友」

 新2年生は昨年度、前例のない大学生活を過ごしました。最初の緊急事態宣言が出た後、春学期の授業は完全にオンライン、秋学期になっても対面授業はごくわずかでした。

 特に多くの学生が触れたのは交友関係についてです。オンラインでのコミュニケーションが主流になったことで、親密な関係を築くことが難しく、孤独を感じる学生が多かったようです。

 「キラキラしたキャンパスライフを想像していた。でも現実は完全オンラインで、リアルタイムの授業があっても『Zoom(ズーム)』なので、会ってクラスメートと…

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藤田結子

明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。