東芝問題リポート

東芝「自滅の車谷氏」退任コメントは“自画自賛”

今沢真・経済プレミア編集部
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中期経営計画を発表する東芝の車谷暢昭会長兼最高経営責任者(当時)=2018年11月8日、小川昌宏撮影
中期経営計画を発表する東芝の車谷暢昭会長兼最高経営責任者(当時)=2018年11月8日、小川昌宏撮影

 英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズによる東芝への買収提案が表面化してから1週間たった4月14日。東芝は永山治・取締役会議長と綱川智氏が記者会見し、車谷暢昭社長の辞任と、綱川氏が会長から約1年ぶりに社長に復帰することを発表した。

 会見に車谷氏は同席せず、司会を務めた広報担当の執行役員が車谷氏の退任コメントを代わりに読み上げた。会見の時間を気にしてか、司会は早口で読んだが、それでも3分46秒かかる長いものだった。コメントは次の言葉で始まる。

 「3年前、東芝再生のミッションを受け、『無謀だ』と言われましたが単身東芝に参画し再生に取り組んでまいりました。本年1月の東証1部復帰で東芝再生ミッションがすべて完了し、現在かなり達成感を感じています」

 コメントは車谷氏を追い詰めた海外投資ファンド、いわゆる“物言う株主”との対立には言及していない。また、かつて会長を務めた“古巣”であるCVCの買収提案に車谷氏が関わったのではないかとの疑惑にも一切触れなかった。自身が「東芝再生」という困難な使命に取り組み、成果を上げたことを“自画自賛”した。

「まさに男子の本懐」

 とくに、米原子力事業の経営破綻などで東証2部に転落した東芝の1部復帰について「復帰当日は大変感慨深いもので、人生に二度とない素晴らしい経験をし、まさに『男子の本懐』」と振り返った。

 そして「東芝が再生を完了し、量子暗号など画期的な新技術の事業化に取り組もうとしている矢先の退任は、私の方針に期待をかけていただいた皆様には本当に申し訳なく思っております」と、無念の退任であることもにじませた。

 会見で車谷氏の退任を発表した永山…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。