藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ニューオーリンズ「フランス風の街並み」と複雑な歴史

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ニューオーリンズ「フレンチクオーター」のメインストリート・バーボン通りの夜(写真は筆者撮影)
ニューオーリンズ「フレンチクオーター」のメインストリート・バーボン通りの夜(写真は筆者撮影)

米ダウンタウン編(6)

 2017年10月。ニューヨークとボストンに出向いた帰路に、ダラスに1泊した筆者は、帰国前の最後の夜に、ニューオーリンズに立ち寄った。大河ミシシッピがメキシコ湾に注ぐ場所にあり、05年夏のハリケーン・カトリーナで市域の8割が水没するという甚大な被害を受けたこの港町は、その後にどこまで復興を遂げたのだろうか。

ミシシッピ川河口の物流拠点

 ダラスからアメリカン航空で1時間半。ルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港への到着は、午後3時半だった。明日は午前8時発の便でダラスに戻って、成田行きに乗る。27年ぶりにこの町を訪問するために、ダラス-ニューオーリンズの往復3万円弱を追加負担したのだが、歩き回る時間はあまり多くは残されていなかった。

 ニューオーリンズの市街は、北をポンチャートレーン湖、南をミシシッピ川で挟まれた、東西に細長い砂州の上にある。ここからメキシコ湾までは、湿地帯の中を蛇行するミシシッピ川を、さらに160キロもたどらなければならない。川沿いの道は130キロ先までだ。日本で一番長い信濃川が総延長360キロ程度だから、米国のスケールの大きさにはあきれる。

 この川は今でも、穀物や鉱石などの輸送の動脈であり、大陸内部への内航船やはしけと、メキシコ湾や大西洋からさかのぼって来た外航船との荷の積み替えは、ニューオーリンズの埠頭(ふとう)で行われている。

 ちなみに貨物船がミシシッピ川を遡行(そこう)する先の最大の都市圏は、カナダ国境に近いミネソタ州のミネアポリスであり、中流にあるミズーリ川との合流地点では、セントルイスが発展した。西から合流するミズ…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。