東芝問題リポート

東芝・綱川氏の「暫定」社長復帰“ほかにいない?”

今沢真・経済プレミア編集部
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オンライン会見に出席した東芝の綱川智社長=2021年4月14日、東芝提供
オンライン会見に出席した東芝の綱川智社長=2021年4月14日、東芝提供

 英投資ファンド、CVCキャピタルパートナーズから買収提案を受けた混乱のなか、東芝の車谷暢昭社長(63)が辞任し、綱川智会長(65)が社長に復帰した。4月14日にオンラインで開かれた記者会見で、綱川氏は「私に課せられたミッションは、今後開催する定時株主総会や、CVCからの買収に関する初期提案などへの対応」と語り、目先の課題に取り組む姿勢を示した。

 会見で綱川氏と並んだ永山治・取締役会議長は、社長に復帰させた理由について「綱川氏は2016年に社長に就任した際、決算の正常化、メモリー事業への外部資本導入、債務超過を回避する資金調達など極めて困難な経営課題を一つ一つ乗り越えてきた」などと語り、危機に直面した経験が豊富な点を挙げた。

歩んできた“傍流”

 綱川氏は1979年東大教養学部卒。東芝入社後は医療機器事業畑を歩み、成長の柱として着実に育ててきた。ただし東芝のなかで医療機器事業は傍流。しかも、15年に不正会計が発覚した直後に、自己資本を高めるために同事業はキヤノンに売却された。

 出身母体はなくなったが、東芝が不正会計からの再生を目指すなかで社長のお鉢が回ってきた。堅実、温厚な性格で、私心がなく清廉との評価は定着している一方で、押し出しという面では弱い。

 就任から半年後に、米原子力事業で巨額の損失発生が明るみに出た。危機に直面し半導体子会社の経営権売却に進むなかで、方針が二転三転し「決められない経営」との批判を浴びることもあった。その綱川氏の復帰で、東芝経営体制に新味は感じられない。

新陳代謝の必要性

 永山氏はこの日の会見で、「マネジメント(経営体制)の新陳代謝の必要性なども考慮…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。