東芝問題リポート

東芝の綱川体制と従業員が直面する“いばらの道”

今沢真・経済プレミア編集部
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東芝の綱川智社長(右)と永山治取締役会議長=2021年4月14日、東芝提供
東芝の綱川智社長(右)と永山治取締役会議長=2021年4月14日、東芝提供

 1年ぶりに社長に復帰した綱川智氏が率いる東芝。まず直面するのは英投資ファンド、CVCキャピタルパートナーズの買収提案だ。さらに大株主の投資ファンド、いわゆる“物言う株主”とのこじれた関係も解きほぐしていく必要もある。綱川体制がこの先どのような道を歩むのか予想した。

買収提案への対応

 東芝は過去、経営危機を回避するため半導体子会社や医療機器子会社を売却してきた。今回その時と違うのは、経営危機ではなく買収されなくても自主経営を維持できることだ。東芝の永山治・取締役会議長がCVC提案について「こちらからお願いしたわけではない」と言っているのはこのためだ。受け入れるか否かは東芝経営陣の判断になる。

 仮に東芝が買収提案を受け入れると、その先はどうなるのか。CVCのような投資ファンドは「プライベート・エクイティー・ファンド」と呼ばれ、未公開株を取得後、3~5年程度かけて会社の収益力を高めて株主価値を引き上げ、売却することで利益を得る。東芝のような上場会社では、株式を公開買い付け(TOB)していったん非公開化した後、再上場する手法を取ることが多い。

 プライベート・エクイティー・ファンドには数兆円の資金力を持つところもある。自己資金ではなく富裕な投資家の資金だ。投資家に対して目標とする利回りは、年間15%以上だという。

収益力を高める手法は「事業の切り売り」

 気になるのは会社の収益力を高めるやり方だ。ある外資系投資ファンド幹部は「一般的に行われるのは収益性の低い事業の切り離し」と説明する。収益力を引き上げる最も確実な手法だという。

 仮に東芝が買収を受け入れても、ファンドが示すTOBの価格…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。