東芝問題リポート

車谷氏を封じた“即断”東芝・永山社外取締役の人物像

今沢真・経済プレミア編集部
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オンライン記者会見に指名委員会委員長として登壇した東芝の永山治・社外取締役=2021年4月14日、東芝提供
オンライン記者会見に指名委員会委員長として登壇した東芝の永山治・社外取締役=2021年4月14日、東芝提供

 英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズによる東芝への買収提案と車谷暢昭社長の“電撃辞任”。たった1週間の出来事のなかで目立ったのは社外取締役である永山治・取締役会議長(73)の動きだった。永山氏がどういう人物で、今回どういう役割を果たしたのかをたどった。

 永山氏は製薬業界5位の中外製薬の元会長で、2020年7月に、小林喜光・元経済同友会代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)と入れ替わりで東芝の社外取締役に就任。取締役会議長、指名委員会委員長という重要な職務を小林氏から引き継いだ。

 CVCの買収提案が表面化した4月7日に車谷氏が「取締役会で議論する」と報道陣に答えたのに対し、2日後に永山氏が取締役会議長として異例のコメントを公表。CVCの提案に「初期的かつ法的拘束力のない提案書」と疑問を投げ、車谷氏の動きを素早く封じ込めた。

 さらにその5日後の臨時取締役会までに車谷氏から辞意を取り付け、即日、社長交代を断行した。直後の記者会見には取締役選任に責任を持つ指名委員会委員長として登壇。車谷氏に「経営再建への功績に敬意を表したい」と賛辞を述べた半面、CVC提案に対し「内容が乏しく唐突で、評価は不可能」と、中身が独り歩きすることに懸念を示した。

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。