熊野英生の「けいざい新発見」

米中は「アフターコロナ」へ 世界経済はどう変わるか

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける高齢者=東京都八王子市で2021年4月12日、大西岳彦撮影
新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける高齢者=東京都八王子市で2021年4月12日、大西岳彦撮影

 日本では、新型コロナウイルスの感染の収束がなかなか見通せない。それどころか、緊急事態宣言の再々発動も警戒されている。いま「アフターコロナ」を口にすれば、絵に描いた餅だと笑われるかもしれない。しかし、世界では「アフターコロナ」はすでに始まっている。

企業の活動は急速に回復

 中国ではアフターコロナが進んでいる。2021年の実質経済成長率見通しは前年比8%以上だ。日本の自動車メーカーは、中国の現地法人で売り上げを急伸させている。コロナを収束させた中国では、他国より経済対策が効きやすい。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国も、旺盛な中国需要に引きずられて成長率を高めている。

 中国と対立する米国は、まだ感染を抑えられずに苦しんでいるが、急速にワクチン接種が進み、その効果が景気の様相を変えようとしている。またバイデン政権は、超大型の財政出動を行い、3月から1人1400ドル(約15万円)の現金給付が始まった。ワクチンへの期待に財政効果が加わったことで、企業の景況感は急速に改善している。

 世界の2大大国が、アフターコロナに動き出したことは、日本にも影響を及ぼしている。特に製造業は、業績が上方修正されて景況感の改善が著しい。国際物流でも、海上と航空双方の貨物輸送が改善している。

 アフターコロナの需要増とは、貿易取引の活発化と、企業の投資再開の二つが主役になるだろう。21年前半は、これまで停滞していた企業活動が再開する分、生産活動が活発化し、製造業の利益が上積みされやすいとみる。逆に、生産再開が急すぎて、原材料や部品などの供給にボトルネックが生じ、思うように活動ができない障害も心配されるくらい…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。