高齢化時代の相続税対策

資産家たちが口にする「コロナ禍のひずみ」の不気味さ

広田龍介・税理士
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 2020年分の確定申告が終わった。コロナ禍のなか、昨年同様、申告期限が1カ月延長され、4月15日で期限を終えた。確定申告時期は、年に1度、顧客である資産家の方々と顔を合わせるが、これまで経験したことのない経済状況に当惑し、今後の相続対策や資産運用に不安を感じる人が多い。

「今後の相続対策は?」

 今年の確定申告は、国税庁が2月2日、緊急事態宣言の延長を受けて1カ月の期限延長を発表した。延長は昨年に続き2年連続だ。

 昨年は、確定申告に必要な資料収集の遅れや税務相談窓口が「密」になる状態を回避するため、2月27日に期限延長を決めた。ただし、この段階では、通常の「3月15日期限」に向けて準備をしていたため、顧客の申告については、ほぼ全てが3月15日までにできた。

 今年は、顧客も当初から1カ月延長を見込んでいたこともあり、全体の2割程度は最初から「4月15日期限」で準備していた。コロナ禍に慣れてきたということだろうか。

 確定申告は、前年1年間の個人所得の全ての状況を反映するものだ。顧客の資産家や富裕層にとって、コロナ禍の20年はどんな1年だったのだろうか。これを機会に、有価証券の運用や不動産取引の動きを中心に話を聞いてみた。

 すると「これまでの経験が役に立たない相場だ」「今後の相続対策や資産運用をどうすればいいのか不安がある」などの声が返ってきた。

実体経済「どこ吹く風」の株・不動産

 資産家のAさんは株式運用で大きな譲渡損失を計上した。新型コロナウイルス感染症が中国から欧州に広がり、世界保健機関(WHO)が世界的大流行(パンデミック)と認定した20年3月、世界で株価が大きく下落した…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。