経済プレミア・トピックス

元裁判長が示した「原発の耐震性」衝撃のデータとは

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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関西電力大飯原発の(右から)3号機、4号機=福井県おおい町で2020年10月20日、本社ヘリから木葉健二撮影
関西電力大飯原発の(右から)3号機、4号機=福井県おおい町で2020年10月20日、本社ヘリから木葉健二撮影

元裁判長が語る原発の不都合な真実(2)

 福井地裁裁判長として、2014年5月に関西電力大飯原発の運転差し止め判決を出した元裁判官の樋口英明さん(68)は、オンラインの講演会で「電力会社が最も国民に知られたくない事実」について語り始めた。

 「東京電力福島第1原発の事故を見て、多くの人は原発があれだけの被害を及ぼしたのだから、(原子力規制委員会が新規制基準を設け、適合した原発は)それなりに安全に造ってあると思うでしょう」

 この樋口さんの問いかけに、多くの人はうなずくのではないか。でも、その新規制基準は地震に対して十分ではないらしい。樋口さんは「福島の事故は地震で原子炉が壊れたのではありません。原発は地震が来て運転を止めた後も、ウラン燃料を冷やし続けなくてはならず、福島は停電したためにメルトダウンしてしまったのです」と語る。

停電と断水を防ぐには

 新規制基準は地震の強さを加速度で示す単位「ガル」を重視している。樋口さんは「原発は停電、断水してはなりません。そこで配電と配管の耐震性が重要になります」と説明し、具体的な数値を示した。

 それは衝撃的な数値だった。震度6はおよそ700ガル、震度7は1500ガル以上となるが、「大飯原発の耐震設計基準は当初405ガル、私が判決を出した時は700ガルで、今は856ガル」という。

 これは一般住宅と比べてどうなのか。樋口さんは「三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、住友林業は3406ガル。実際に鉄板の上で住宅を揺さぶる実験をして、ここまで大丈夫でした。これに対して原発の基準は上げたところで、この程度。ハウスメーカーの耐震性よりもはるかに低い。…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部