藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ロサンゼルス「ダウンタウン」鉄道不毛の地の様変わり

藻谷浩介・地域エコノミスト
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コロニアル調のユニオン駅はダウンタウンの乗り換えの拠点(写真は筆者撮影)
コロニアル調のユニオン駅はダウンタウンの乗り換えの拠点(写真は筆者撮影)

米ダウンタウン編(7)

 全米第2の大都市・ロサンゼルスを、仕事や観光で訪れる日本人は多い。しかし、その都心に立ち寄る人はどのくらいいるのだろうか。ハリウッド、ビバリーヒルズ、サンタモニカ、ディズニーランドや、大リーグ・エンゼルスの本拠地のあるアナハイムなど、有名どころはみな郊外だ。戦前の日系人地区・リトルトーキョーは「ダウンタウンの南」に残り、ドジャースタジアムは「ダウンタウンの北」にあるが、ではそのダウンタウンにはいったい何があるのだろう?

かつては車がないと動けない町

 1985年、大学3年の夏休み。全米を東から西へバスで横断した1カ月の旅行の最後に、シアトルから南下してロサンゼルスにたどり着いた筆者は、当時まだ鉄道軌道系の公共交通機関のない究極の車社会だったこの町で、途方に暮れた。それ以降、同地を訪れる際には必ずレンタカーを借りるようにしたので、最大で片側10車線あるフリーウエーを運転する度胸はついたものの、ダウンタウンに足を運ぶことはないままだった。

 2017年12月に、当地に講演に呼ばれたが、会場も宿泊場所も、ダウンタウンから30キロほど南南西にあるトーランス地区の、日系のホテルだった。ロサンゼルス国際空港にも近いので、自然体ならどこにも寄らずに帰国してしまうことになる。

 だが偶然の幸いで講演後、ホテルから40キロ近く北のハリウッドに行く人の車に、同乗することができた。経由したフリーウエー110号線は名物の渋滞で、45分ほどかかった。ハリウッドの商業地区は、県庁所在地クラスの町の都心くらいの大きさと人の密度で、いつ行っても特段面白くない。そこでこの機会に、ダウンタ…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。