職場のストレス・マネジメント術

副業に挑戦した30代男性が陥った「認知的不協和」とは

舟木彩乃・産業心理コンサルタント・カウンセラー
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 人材教育関係の教材を販売する企業の法人営業部(約10人)に所属する小川さん(仮名、30代前半男性)は、最近、「コーチング」に関する副業を始めました。会社は、本業に差し障りがない範囲で副業を認めています。小川さんはトップセールスの成績を何度も収めた実績があるため、上司のA部長(50代前半男性)は快諾しました。

副業を成功させたいと深夜まで作業

 小川さんは、これまでのセールスの実績は、自身の高いコミュニケーション能力にあると考えていました。そこで副業は、「営業成績を上げたい」「話し上手になりたい」と考えている人に、自身の経験も交えてアドバイスをする仕事にしました。うまくいけば、いずれはこちらを本業にすることも考えていました。

 まずは、お客さんをどうやって集めるかを学ぶ起業塾に通い、そこで効果的な広告の打ち方やSNSの活用を学びました。小川さんはブログを立ち上げ、日記のようなものを書いてファンを増やす努力をしました。フェイスブックやツイッターも積極的に更新して、集客に努めました。

 小川さんは、平日の本業が終わった後のほとんどの時間、さらには土日も使って頑張りました。副業を軌道に乗せたいと思うあまり、ブログの日記を書くのが深夜に及ぶこともしばしばでした。

 ただ、起業塾には約100万円を費やしたものの、コーチング料1回2万円の顧客は多くても月に3人程度で、当初のもくろみはかなり狂ってしまいました。3~4カ月たっても副業でほとんど収入が得られなかった小川さんは、何もかもが“不快”に感じるようになっていったそうです。

好ましくない現状を都合よく解釈

 筆者は小川さんから相談を受けました。…

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舟木彩乃

産業心理コンサルタント・カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。金融庁職員のメンタルヘルス対策にも従事する。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。