東芝問題リポート

東芝「車谷氏に利益相反あったか」中島茂弁護士に聞く

今沢真・経済プレミア編集部
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東芝の中期経営計画を発表する車谷暢昭会長兼最高経営責任者(当時)=東京都港区で2018年11月8日午後2時53分、小川昌宏撮影
東芝の中期経営計画を発表する車谷暢昭会長兼最高経営責任者(当時)=東京都港区で2018年11月8日午後2時53分、小川昌宏撮影

“東芝買収騒動”中島茂弁護士に聞く(1)

 英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズによる東芝への買収提案と車谷暢昭・前社長の辞任。4月に起きた“東芝騒動”を、ガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)の専門家はどう見ているのでしょうか。企業法務に詳しい中島茂弁護士に聞きました。3回に分けて掲載します。【聞き手・今沢真】

 ――東芝に買収提案をしてきた投資ファンドが車谷氏の“古巣”のCVCでした。このため「車谷氏は利益相反にあたる疑いがある」と指摘されています。どうお考えですか。

 ◆中島茂弁護士 車谷氏は東芝に移る直前の2018年までCVC日本法人の会長を務めていましたが、東芝に移るときに辞めています。いまCVCと何の関係もなければ、形式的には利益相反になりません。

 ――形式的にはそうでしょうが、実質的には?

 ◆CVCを辞めてまだ3年です。しかも日本法人の会長だったのですから、大きな影響力が残っていると考えるのが自然です。実質的には利益相反の色彩が強いと思います。たとえば、買収に向けて株式の公開買い付け(TOB)が行われるとき、会社はTOBに対する「意見表明報告書」を出すのですが、会社は純粋に株主の立場に立って意見表明できるのでしょうか。難しいと思います。

取締役はどちら側に立つべきか

 ――CVCの提案は、車谷氏ら経営陣を維持したまま買収を行う内容でした。実質的にはMBO(マネジメント・バイアウト=経営陣による自社買収)に似た要素があったと思います。

 ◆そうですね。MBOの場合は、買収側経営陣は株を安く買いたい。一方、株主側は買収に応じるのであれば高く売りたい…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。