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「ノーコメント」連発!“3000億円損失”野村の会見

今沢真・経済プレミア編集部
オンラインで会見する奥田健太郎・野村ホールディングス社長=2021年4月27日
オンラインで会見する奥田健太郎・野村ホールディングス社長=2021年4月27日

 野村ホールディングスは4月27日、2021年3月期連結決算の記者会見をオンラインで行った。野村は3月29日に「米国子会社で約20億ドル(約2200億円)の損失を出した可能性がある」との資料を公表した。その後1カ月近くたつが、損失に関しそれ以上の説明をしてこなかった。この日の決算会見で、損失が発生した経過や背景、リスク管理の問題をどう説明するか注目された。

 メディア報道などで、損失は米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの株式運用をめぐる取引で発生したことが明らかになっている。野村のほかにスイス金融大手クレディ・スイス、米モルガン・スタンレーといった海外勢も巨額の損失を出した。一方、アルケゴスの主要取引先だった米ゴールドマン・サックスは運用株をいち早く売却し、大きな損失を出していない。

決算期をまたいで損失発生

 決算会見には奥田健太郎社長と、北村巧・財務統括責任者(CFO)が出席した。会見は55分間続き、このうち報道陣との質疑は30分余りだった。報道側は10人が質問した。全員が巨額損失に関して質問し、損失発生の経過や理由、責任問題などを問いかけた。

 野村側はアルケゴスの社名を伏せ「顧客1社との取引で生じた損失」として説明した。まず損失額が3077億円に膨らんだことを明らかにした。21年3月期に2457億円を計上し、22年3月期にも620億円の損失を見込む。損失が発生した経緯は次のように説明した。

 昨年末から今年初めにかけて取引先が運用していた銘柄の株価が上昇し、1月以降に運用の規模が急激に拡大した。3月になり、このうち1銘柄の株価が急落した。それをきっかけに他の銘柄の…

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経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。同9月から編集部総括。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。