藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

IT集積地シリコンバレーは「ワーケーション」の街?

藻谷浩介・地域エコノミスト
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スタンフォード大学のキャンパス。スペインの小都市の市街地のよう(写真は筆者撮影)
スタンフォード大学のキャンパス。スペインの小都市の市街地のよう(写真は筆者撮影)

米ダウンタウン編(8)

 コロナ禍で、すっかりなじみになったオンライン会議ツールの「ズーム」。開発したのは中国山東省出身のエンジニアが2011年にシリコンバレーで起業した会社だ。対抗馬の会議ソフトを提供するグーグルやシスコシステムズはもちろん、アップルやフェイスブックなども本拠を構えるシリコンバレー。名前はよく聞くが、どんな場所なのだろうか。

サンフランシスコから列車でサンノゼへ

 17年12月下旬。ロサンゼルスのダウンタウン(「ロサンゼルス『ダウンタウン』鉄道不毛の地の様変わり」<2021年4月26日>参照)を歩いた翌日、筆者はサンフランシスコまで飛んできた。明日朝の帰国の前にシリコンバレーを駆け足で見ておきたいと考えたのだ。

 空港からBART(ベイエリア高速鉄道。中心部は地下鉄)で1000円、30分少々。サンフランシスコ中心部のパウエルストリート駅で下車し、ホテルに荷を置いて、1.5キロほど東南の4丁目駅まで歩いた。かつては場末の倉庫街だったこのあたりは、見違えるほど奇麗になっている。

 この駅から、南東に75キロほど離れたサンノゼの都心部まで、カルトレイン(通勤鉄道)が30分に1本、所要1時間半弱で運行している。2階建ての客車が5両編成で、1階部分に自転車を持ち込める車両もついている。途中にはスタンフォード大学の最寄り駅のパロアルト駅もある。午後2時発の車中はすいていたものの若い顔が目立った。

 1日の利用者はコロナ禍前は6万人台と、米国の通勤鉄道としては繁盛している方だが、輸送密度は1日=1000人キロを切る計算で、日本であれば赤字ローカル線レベルだ。運行は、沿線のサンフ…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。