毎日家業×創業ラボ

もう一度継ぐ!コロナの逆風を突く「攻め」の経営

清水憲司・毎日新聞経済部副部長(前ワシントン特派員)
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ニット編み機を調整する小高集さん=清水憲司撮影
ニット編み機を調整する小高集さん=清水憲司撮影

 北欧デザインの布草履を製造・販売する「オレンジトーキョー」を創業した小高集さん(48)は、かつて父親によって追い出された実家の小高莫大小(メリヤス)工業を、再び継ぐと決意しました。傾いた実家をどう立て直すか。小高さんはコロナ禍の逆風を突いて、両社の力を融合した「攻め」の経営に乗り出そうとしています。

私の家業ストーリー<4>小高集さん

 「敗戦処理にはしない」。小高さんは実家の小高莫大小を6年半ぶりに経営するにあたり、そう決心した。

 2013年に、社長だった自分を追い出した後、会社の売上高はいったん回復したものの、ほどなく減少に転じていた。中国への生産移管で、日本の繊維産業全体が苦境に陥る中、古参社員が定年を迎えるまで会社を維持し、やがて廃業する選択肢もないわけではなかった。

 「攻め」の経営を決意したのは、「敗戦処理ではつまらない。もうすぐ自分も50歳になる。自分が楽しいと思えないことに時間と労力を費やしたくない」と感じたからだ。

 「町工場」から脱却する――。小高さんが描くのは、カラフルな布草履「メリ(MERI)」でデザイン力を培ったオレンジトーキョーと、創業70年の実績と信頼があり、アパレルメーカーなど幅広い取引先を持つ小高莫大小の力の結集だ。

 これまで小高莫大小は、袖や襟といったニットのパーツ品を、アパレルメーカーの注文に従って生産してきた。しかし、自前のデザイン力があれば「こんな製品が作れます」と提案型の高付加価値の仕事が可能になる。オレンジトーキョーとしても、自前の生産…

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清水憲司

毎日新聞経済部副部長(前ワシントン特派員)

 1975年、宮城県生まれ。高校時代まで長野県で過ごし、東京大学文学部を卒業後、99年毎日新聞社に入社。前橋支局を経て、東京経済部で流通・商社、金融庁、財務省、日銀、エネルギー・東京電力などを担当した。2014~18年には北米総局(ワシントン)で、米国経済や企業動向のほか、通商問題などオバマ、トランプ両政権の経済政策を取材した。