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「原発に大地震来ない」は本当なのか?元裁判長の告白

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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裁判官を定年退官後、全国で講演活動を続ける樋口英明さん=山口県宇部市で2019年11月9日、松本昌樹撮影
裁判官を定年退官後、全国で講演活動を続ける樋口英明さん=山口県宇部市で2019年11月9日、松本昌樹撮影

元裁判長が語る原発の不都合な真実(3)

 福井地裁裁判長として、2014年5月に関西電力大飯原発の運転差し止め判決を出した元裁判官の樋口英明さん(68)は、オンラインの講演会で、原発の耐震設計の低さについて詳細に語った。そのデータは衝撃的だった。

 大飯原発の耐震設計基準は、東京電力福島第1原発事故後、当初の405ガルから856ガルに引き上げられた。ガルは地震の強さを加速度で示す単位だ。原子力規制委員会は厳格化した新規制基準に適合すると判断したが、大手住宅メーカーには3000ガル台や5000ガル台の地震に耐える一般住宅があり、それに比べると著しく低い。

 このため「震度7に当たる1500ガル以上の地震が来たら、配管が壊れて断水し、配電関係が壊れて停電する可能性がある」と樋口さんは指摘する。

 これに対して、電力会社は「原発は固い岩盤の上に建っている。一般の住宅が建つ地表は岩盤より揺れが大きく、比較はできない」と主張している。

関電「700ガル以上の地震来ない」

 本当なのか。樋口さんは東京電力柏崎刈羽原発で07年に起きた新潟県中越沖地震の実測値を示した。同原発は地表から約170~300メートル下に岩盤が位置している。「実際には地下の岩盤で約1700ガル、地表で約500~1000ガルを観測しました。このように岩盤の揺れが必ずしも小さいわけではありません」。

 中越沖地震で、柏崎刈羽原発は岩盤も地表も建設当初の基準地振動(耐震設計基準の目安)の450ガルを超えていた。日本では岩盤の上に直接建つ原発は少なく、柏崎刈羽のように岩盤は地下深くに位置し、地表の上に建つ原発が多いという。いずれにせよ…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部