熊野英生の「けいざい新発見」

労働生産性で初めて韓国に負ける「日本に根ざす敗因」

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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日本人の働き方は生産性が低いのか(マスクをつけて通勤する人たち)=東京都千代田区で2020年4月15日、北山夏帆撮影
日本人の働き方は生産性が低いのか(マスクをつけて通勤する人たち)=東京都千代田区で2020年4月15日、北山夏帆撮影

 日本生産性本部が調査している労働生産性のデータによると、日本の2019年(直近値)の就業者1人当たりの労働生産性(実質GDP÷就業者数)は8万1183ドル(購買力平価で換算したドル価格)で、OECD(経済協力開発機構)加盟37カ国中26位だ。日本はこれまで6年間ほど21位の座を維持してきたが、19年は大きく順位を下げてしまったかたちだ。

 これに対し、韓国は同8万2252ドルで24位と日本を1.3%上回っている。韓国は人口が日本の4割程度と小さいが、人口動態や産業構造はよく似ている。だが、経済成長率は日本の方が低く、初めて労働生産性の逆転を許してしまった。その理由を考えてみたい。

コロナ禍で下がる日本の生産性

 人口減少傾向で悩んでいる点で、日本と韓国は共通している。10~20年平均で日本は年0.2%の減少。韓国はプラスだが同0.3%の小幅増加だ。一方、実質GDPの伸び率は、15~20年平均で日本がゼロ成長に対して、韓国が2.1%の伸びだった。

 韓国も以前より成長ペースは落ちているが、日本の成長率がより低いため、労働生産性では順位が逆転してしまった。心配なのは、今後“アフターコロナ”の時代に入っても、日本の成長率が低迷することによって、労働生産性の格差がさらに広がることである。すでに、コロナ禍によって日本の20年の実質GDPは前年比マイナス4.8%と大きく落ちた。

 IMF(国際通貨基金)の予測(21年4月)では、20~26年の実質GDPは日本が8.9%上昇、韓国が17.0%上昇する見通しだ。日韓の格差は広がる。韓国だけでなく、海外の主要国との生産性格差も広がるとみられる。さらに…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。