東芝問題リポート

東芝経営陣に欠落していた「株主と向き合う覚悟」

今沢真・経済プレミア編集部
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不正会計が発覚し辞任を発表する東芝の田中久雄社長(当時、右手前から2人目)ら=東京都港区で2015年7月21日午後5時6分、望月亮一撮影
不正会計が発覚し辞任を発表する東芝の田中久雄社長(当時、右手前から2人目)ら=東京都港区で2015年7月21日午後5時6分、望月亮一撮影

“東芝買収騒動”中島茂弁護士に聞く(3)

 英ファンドによる買収提案から車谷暢昭前社長の辞任に至る“東芝騒動”について中島茂弁護士に聞くシリーズの最終回は、背景にある「株主と経営陣との対立」に話が及びます。車谷氏は、「物言う株主」として知られる海外投資ファンドと対立し、今年の定時株主総会で再任が危ぶまれていました。企業法務の専門家はその状況をどう見たのでしょうか。【聞き手・今沢真】

 ――車谷氏は「物言う株主」から株主還元や投資方針などさまざまな注文をつけられていました。3月の臨時株主総会では昨年の定時株主総会の手続きが不透明だとして再調査を求める議案が株主提案され、会社側の反対を押し切って可決されました。

 ◆中島茂弁護士 ファンド株主が注文をつけてくるのは株主として当然のことです。ファンド株主の要求の中に、株主総会の運営の公正さを調べてほしいという正論があり、それが臨時株主総会で株主提案され、可決されたということです。総会の公正な運営はコーポレートガバナンス(企業統治)の基本です。経営陣は応えなければいけません。

 東芝は経営危機に陥った際に大増資を行って危機を脱しました。そのときにファンド株主が入ってきた。ファンド株主の目的は「企業価値を高めること」です。ガバナンスなどで次から次へと要求してくるのは当たり前です。増資のときから覚悟していなければいけません。要求に対して全力を傾けて努力し、応えていくのが経営者です。

 <東芝は2017年、米原発事業の破綻で債務超過に陥り、6000億円の第三者割り当て増資を海外投資ファンドに行い債務超過を解消した。「物言う株主」の多くがこのときに増…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。