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日本の水道救う?米国発「劣化予測ベンチャー」とは

中村吉明・専修大学経済学部教授
水道管が老朽化し、全国で年間約2万件の破損漏水事故が起きているという
水道管が老朽化し、全国で年間約2万件の破損漏水事故が起きているという

 1970年に一世を風靡(ふうび)したイザヤ・ベンダサン氏の「日本人とユダヤ人」という本をご存じだろうか。イザヤ・ベンダサン氏は訳者の山本七平氏だったという説が現在では有力だが、同書の中に「日本人は安全と水は無料で手に入ると思いこんでいる」という記述があった。

 今となっては、日本人でも「安全」が無料だと思っている人は少なくなっているだろうが、水はどうか。実は我々が毎日飲む水道水を取り巻く環境は年々厳しくなっている。我々に水を供給している地下の水道管がここに来て、危機的な状況にひんしているのだ。

全国で進む老朽化

 というのは、水道管の多くは戦後の高度成長期に敷設されており、老朽化が進んでいるからだ。水道は原則として地方自治体が水道料金を財源とする特別会計で運営している。ところが人口減少に加え、近年は節水機器の普及もあり、総務省によると各家庭の1人当たりの使用水量は2000年をピークに減少しているという。

 このため自治体ごと独立採算制の水道事業は、水道料金収入が減少する一方で、人件費やメンテナンスコストなどの支出が重くのしかかり、経営が悪化している。とりわけ過疎化が進む地方においては、老朽設備の更新など、もってのほかという状況になっているのだ。

 その結果、水道管破裂などによる事故が全国で発生し、社会問題となっている。厚生労働省によると、日本の水道管の延長は約67万キロあるが、このうち約15%は法定耐用年数(40年)を超えており、年間約2万件の破損漏水事故が起きている。設備更新の予算は限られており、多くは配管素材や法定耐用年数を基に少しずつ更新しているのが現状だ。

 しかし、実際に地中の…

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専修大学経済学部教授

 1962年生まれ。87年、通商産業省(現経済産業省)入省。環境指導室長、立地環境整備課長などを経て、2017年から現職。専門は産業論、産業政策論。主な著書に「AIが変えるクルマの未来」(NTT出版)、「これから5年の競争地図」(東洋経済新報社)など。