海外特派員リポート

ワクチン接種の英国で「サッカー観戦」熱帯びるワケ

横山三加子・毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)
  • 文字
  • 印刷
スタジアムで応援が再開できたことを喜ぶ英国のサッカーファン=ロンドンで4月25日、横山三加子撮影
スタジアムで応援が再開できたことを喜ぶ英国のサッカーファン=ロンドンで4月25日、横山三加子撮影

 英国人が「人生そのものだ」などと熱く語るサッカー。だが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、スタジアムやパブでファンが試合経過に一喜一憂する光景が消え、人気チームの経営にも打撃が生じた。感染拡大から1年余がたち、ワクチン接種で感染が落ち着き始めた英国では、サッカーを巡る新たな動きが出ている。

 「スタジアムで観戦するのは約1年ぶりだ。サッカー観戦は、私を子どものようにするほど中毒性がある。本当に恋しかったし、来られてうれしい」。4月25日午後、ロンドンのウェンブリースタジアム前でピーター・ジャクソンさん(28)は笑顔を見せた。

 この日行われたのは、イングランドのリーグ杯のひとつ「カラバオ杯」決勝、マンチェスター・シティー対トットナム。経済・社会活動の再開が徐々に進む英国では、政府がスポーツや音楽などの大規模イベントを6月後半に全面再開する計画を立てている。

 それに向けて感染対策などを検討するため、観客を入れた試験的なイベントが始まっており、この対戦もその一環だ。

試合前に陰性を確認しスタジアムへ

 観客は両チームのファン2000人ずつと、国民医療サービス(NHS)の看護師ら4000人の計8000人。9万席のスタジアムにしては小規模だが、感染の再拡大だけは避けたいという英政府の慎重な姿勢を反映している。

 試合前に2回の検査で新型コロナ感染の陰性を確認することが入場の条件で、屋外席でもマスク着用。試合後も検査が必要など制約はあるが、ピーターさんは「やることはたくさんあるが、試合を見るための代償だ」と、自らに言い聞かせるように話す。

 隣にいた父スティーブさん(67)も「サッカーは英国人にとって…

この記事は有料記事です。

残り1350文字(全文2054文字)

横山三加子

毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)

1981年、埼玉県生まれ。法政大学社会学部卒。2004年、毎日新聞社に入社。岡山支局、大阪本社経済部を経て13年から東京本社経済部。電機・通信業界、経済産業省や財務省、財界などを担当。19年10月から現職。