産業医の現場カルテ

「残業多い」高血圧を心配した50代男性に隠れていた病

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 内田さん(仮名、50代男性)は、サービス業の会社で経理担当を務めています。この会社の産業医である私は、健康診断の結果から高血圧が認められた内田さんに保健指導をするため面談をしました。早めの受診を勧めることが目的でしたが、話を聞くと、別の病気の疑いがあることがわかりました。

仕事中に強い眠気

 私はまず、高血圧のリスクについて話しました。日本高血圧学会が公表する「高血圧治療ガイドライン」によると、高血圧の人は脳血管障害や心不全などの重大な病気につながるリスクがあります。内田さんはここ数カ月、月40時間程度の残業をしており、その点でも早めに治療が必要だと伝えました。

 ただ、内田さんは「最近、仕事中に強い眠気があり、集中力が続きません。ふと気づくと数分間、眠ってしまうこともあります。そのため、残業が増えてしまっています」といいます。

 昼間に眠気があるということは、夜間の就寝中に睡眠の質が悪化している可能性があります。内田さんは、仕事中に居眠りをしていることも考えられました。こうした人は一日中疲労感を抱えているケースがあります。内田さんは、就寝中に何度も目が覚めるといいます。

体重が約10キロ増加

 私は、内田さんが睡眠時無呼吸症候群にかかっていると考えました。この疾患を持つ人はいびきをかくケースが…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。