MRJが世界を飛ぶ日

三菱スペースジェット「再開は市場を見て」の苦しさ

平野純一・経済プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷
試験飛行で名古屋空港を離陸するスペースジェット=2020年3月18日、兵藤公治撮影
試験飛行で名古屋空港を離陸するスペースジェット=2020年3月18日、兵藤公治撮影

 国産初のジェット旅客機を目指す三菱航空機の「スペースジェット」は、新型コロナウイルスで航空業界が大打撃を受けたことで、開発を一時中断している。今後の事業の継続性について、親会社・三菱重工業の泉沢清次社長は5月10日、同社の21年3月期決算の記者会見で「事業環境と市場性などを複合的に見てやっていく。市場環境は非常に厳しいので、よく見極めながら進めていく」と苦しい胸の内を明らかにした。

航空需要はコロナ前の半分以下

 航空業界は依然として厳しい環境にある。国際航空運送協会(IATA)が4月に発表した2021年の世界の航空需要予測は、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年に比べて43%の水準にとどまるとした。昨年12月時点では51%としていたが、各国政府の新型コロナに対する慎重な姿勢やワクチン接種の遅れなどから下方修正した。

 ボーイングの21年1~3月期決算は、最終(当期)利益が5億6100万ドル(約611億5000万円)の赤字で、6四半期連続の最終赤字だった。ANAホールディングスの21年3月期は4046億円の最終赤字。日本航空も同2866億円の最終赤字と、航空機メーカー、航空会社ともに苦しい。

 新型コロナの感染拡大はいつ収束するのか、その後の航空業界はどのような姿なのか、今は誰も見通せない。スペースジェットの開発は3年間中断の後に、また判断するというのが三菱重工の基本スタンスだ。

 この間、三菱航空機は人員を1700人程度から200人弱まで減らし、名古屋空港ターミナル内にあった本社は、空港隣の三菱重工の最終組み立て工場内に移した。試験機は日本に1機、アメリカに4機あるが、いずれも…

この記事は有料記事です。

残り1189文字(全文1887文字)

平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。