「わたし」の働く・生きる新常識

フェムテック最前線~「わたし」を知って選ぶ生き方

本橋敦子・毎日新聞経済部記者
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国内で初めて開かれたフェムテック展示会=東京都渋谷区で2019年9月、竹内麻子撮影
国内で初めて開かれたフェムテック展示会=東京都渋谷区で2019年9月、竹内麻子撮影

 「女性の社会進出」が叫ばれて久しい日本。しかし世界ジェンダー平等ランキングでは毎年下位に沈み、うまくいっているとは言いがたい。実際、記者(28)は女性特有の体の変化に対応しきれず、仕事との両立に悩むことがしばしばだ。男女格差の是正を急ぐ欧米では、こうした女性の健康に関わる問題をテクノロジーで解決する「フェムテック(Femtech)」が急成長を遂げているという。どういうことか取材した。【毎日新聞経済部・本橋敦子】

言い出しにくい生理の悩み…

 「これから仕事の飲み会なのに貧血。しんどい」「生理痛キツくて生理休暇を取りたいけど、男性上司ばかりで言いづらい」。月経中のある日、記者が家族とのメッセージアプリに書き込んだ内容だ。

 記者は月経中に必ず腹痛と眠気に襲われ、仕事の効率が落ちることが悩みだった。月経に限らず、こうした心身の変化による似たような悩みを抱えている女性は少なくないのではないだろうか。

 そんな女性の健康課題への対策として生まれたのがフェムテックだ。フェムテックは女性(Female)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、2012年ごろ、ドイツの月経管理サービス「Clue(クルー)」を開発したアイダ・ティン氏が使い始めたとされる。

 フェムテックが対象とするのは、妊娠・出産、育児、不妊治療、更年期などライフステージの変化によるものだけでなく、月経、避妊、セクシュアルウエルネス(性にまつわる健康)など女性の体や健康に関わる問題全般だ。

「陣痛」「妊娠可能性」「人工授精」…欧米で続々

 日本では、月経時に経血を受け止める吸水ショーツの利用者が増えつつある。これまで紙ナプキンの利用でありがちだった肌のかぶれや蒸れから解放されるほか、洗って繰り返し使えるため経済的にも良いとして人気を集めている。

 一方、欧米におけるフェムテックはさらなる進化を遂げている。例えば、妊娠中に小さなモニターをおなかに貼り付けて子宮収縮の様子や胎児の心拍をスマホで確認できるサービスは、胎内の状況を正確にとらえることができ、胎児の異常や突然死、早産のリスクも避けられる。

 自分で指先の血液を採取するだけで妊娠のしやすさや閉経のタイミング、卵子凍結の適性などを調べられるサービスも人気を集めている。自分の体質を早くから知ることで「計画的に妊娠とキャリアのバランスを考えられる」と若い世代に受け…

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本橋敦子

毎日新聞経済部記者

 1992年、茨城県水戸市生まれ。2015年、早稲田大学文化構想学部卒、毎日新聞社入社。仙台支局で東日本大震災の被災地を取材し、19年5月から東京本社経済部。コンビニや食品、商社業界など民間の現場を幅広く担当。20年4月からは通信、IT・デジタル業界、総務省を取材している。