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孫正義氏「見逃し三振は反省します」何のこと?

川口雅浩・経済プレミア編集長
ソフトバンクグループの決算発表で笑顔を見せる孫正義会長兼社長=2021年5月12日、同社のオンライン発表会から
ソフトバンクグループの決算発表で笑顔を見せる孫正義会長兼社長=2021年5月12日、同社のオンライン発表会から

ソフトバンクG最高益となったワケ(2)

 2021年3月期の連結決算で、日本企業として過去最高となる約4.9兆円の最終利益を上げたソフトバンクグループ(SBG)。孫正義会長兼社長は5月12日の決算発表会見で「5兆円近い利益はたまたまだ」と謙遜し、「反省すべき点は反省している」と漏らした。

 どういうことか。SBGは世界で「ユニコーン」と呼ばれる企業価値の高い未公開のベンチャー企業を中心に21年3月期は224社に投資し、14社が新規上場した。しかし、すべての投資先が順風満帆というわけではない。

 今年3月には投資先の英金融企業「グリーンシル・キャピタル」が経営破綻した。20年3月期決算では、シェアオフィスを運営する米ウィーワークカンパニーが乱脈経営で巨額の損失を計上し、大赤字の要因となった。投資先を読み間違えるリスクは今後も否定できない。孫氏は当然、「反省している」とした。

「見逃し三振」反省している

 ところが孫氏は「それ以上に反省しているのは、素晴らしい会社への投資を見逃したことだ」という。

 投資家として目利きを自負する孫氏は、この1年、人工知能(AI)関連のベンチャー企業への投資機会をいくつか逃したと考えているようだった。

 「野球でいえば、見逃し三振みたいな打席がいくつもあった。謙虚に受け止めるべき課題だと思っている」とも語った。

 さらに「これからは継続的に利益が出せるようにしたい。バクチのように…

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経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。