産業医の現場カルテ

「大型家電の配達も」配送員の体を守る社内対策とは

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 江川さん(仮名、50代男性)は、従業員数約70人の配送会社で事業所長を務めています。会社は、個人宅への荷物の配達や、家電量販店からの大型家電の配達を請け負っています。家電は重いものが多く、腰痛を抱える従業員が少なくありません。また、従業員の平均年齢が40歳前後に上がってきています。産業医である私は、江川さんから職場でできる対策について相談されました。

体力や筋力の低下が心配

 近年、個人宅への宅配物の数は増加しています。また、昨年からの新型コロナウイルス感染症の拡大による巣籠もり需要で家電の売れ行きも好調です。こうした中、江川さんの会社も多忙になっています。

 江川さんは「仕事がとぎれないのはありがたいことですが、ベテランの体力や筋力の低下を心配しています。家電の配送は若手を中心にして、ベテランは個人宅への配達を任せる方針です。しかし、若手の採用に苦戦していて、従業員の平均年齢が上がり、家電の配送を行うベテランを増やさざるを得ない状況です」と話します。

 そこで私は、江川さんと家電の配送をする従業員への対策を考えていくことにしました。

成人男性が取り扱う重量は

 まず、家電配送の状況を確認しました。扱う荷物が大きく重いため、中型以上のトラックで2人1組で配送します。トラックの荷台には、荷物を載せ…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。