ニッポン金融ウラの裏

野村と地銀の新会社は「証券会社の伝統」を揺るがすか

浪川攻・金融ジャーナリスト
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オンラインの記者会見で決算内容を説明する奥田健太郎・野村ホールディングス社長=2021年4月27日
オンラインの記者会見で決算内容を説明する奥田健太郎・野村ホールディングス社長=2021年4月27日

 証券会社のビジネス構造に変革の兆しが出始めている。野村証券を中核子会社とする野村ホールディングスが、千葉銀行など地銀3行と合弁で設立するコンサルティングサービス会社がそれだ。この事業の注目点は、証券ビジネスでひとくくりにされてきた「アドバイザリー(投資助言)」と「売買注文の受託・執行」の二つの業務を分離することだ。

 新会社には、野村と千葉銀行のほか、第四北越銀行(新潟市)、中国銀行(岡山市)が出資する。地銀3行は、地銀広域連合の「TSUBASAアライアンス」にも参加している。

 新会社は、リモート形式による金融コンサルティングサービスを個人客に提供する。「証券と銀行のノウハウを組み合わせ、業態を超えた総合的な金融コンサルティングを提供する」(野村ホールディングス)という。

投資助言で得る収入

 提供するコンサルティングの中心は個人の資産運用だ。この分野は従来、証券会社や銀行に所属する社員が、投資への助言を行う対価として、株式や投信の売買注文を受け、売買を執行する手数料を得てきた。

 投資への助言を専門に行う業種としては「投資顧問業」がある。投資顧問業は、投資助言のみをおこなう「投資助言業務」と、投資に必要な権限を投資家から委任される「投資一任業務」があり、前者の投資助言業務は、投資助言だけで報酬を得る。新会社は投資助言業の業者登録が必要となるだろう。

 これまで投資顧問業者は、機関投資家や年金基金といった専門家を顧客として、投資助言業務を行ってきた。個人客もいないわけではないが、一部の超富裕層に限られていた。その意味では、老後生活設計を考える…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。