
外国人の購入者たち(1)
地銀、スルガ銀行(本店・静岡県沼津市)の不動産をめぐる不正融資問題で、新たな“パンドラの箱”が開き始めた。中古の賃貸アパートやマンションといった投資不動産への融資で、同行が数多くの不正に関与したことが明らかになっているが、これまで知られていなかった多数の外国人購入者の存在が浮上している。
最初に登場するのは40代の米国人男性、ジョージさん(仮名)だ。米国で大学を卒業し、文部省の外国語教育プログラムで1996年に初来日した。中学・高校の英語講師を経て、東京都内でイベント会社や外資系ネット広告会社に勤めた。一時的な帰国もしたが在日歴は通算20年を超す。今は自営で、ネット通販を日米で行っている。
最初に都内で中古マンションの一室を購入したのはリーマン・ショック後の2009年。2年ほどで自宅を含め3室を買い、2室を賃貸している。購入額は3室で4000万円弱。スルガとは別の銀行の融資だった。金利は1%台と低く問題は感じていない。購入の動機については「預金金利がゼロに近く、不動産に投資したほうがいいと思った」と振り返る。
外国人をターゲットに
ほどなく、イベント会社の元同僚の米国人から「不動産投資に興味があるなら」と、東京・西麻布にあった不動産仲介会社、P社を紹介された。元同僚はイベント会社をやめ、外国人が持つ不動産を管理する会社を経営していた。
P社は当時、外国人向け投資セミナーを都心で毎月のように開いていた。社長は日本人で、英語が堪能なスタッフがいた。セミナーの紹介サイトに次のような案内が書かれていた。
「Yes,foreigners can get a…
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