
外国人の購入者たち(2)
東京都内で暮らす米国人男性、ジョージさん(40代、仮名)は2011、12年に千葉県松戸市と東京・池袋の中古アパート計2棟を、スルガ銀行からの融資で購入した。ジョージさんは物件購入後、元同僚の米国人が始めた不動産管理会社を手伝い始めた。
東京で外資系金融会社などに勤める外国人をターゲットに、不動産業者が投資の営業をかけていた。外国人は物件購入後、言葉の壁で管理トラブルになることが多かった。日本語ができるジョージさんは業者と外国人の意思疎通役になった。
物件情報満載の行員メール
当時、不動産会社とスルガ銀行が不動産投資セミナーをたびたび共催していた。ジョージさんはセミナーに顔を出すうちに、スルガ銀行の行員と名刺を交わし、頻繁にやりとりするようになった。13年から16年ごろのことだ。外国人が銀行の支店で融資契約をする際、立ち会うこともあった。
東京・日本橋にあるスルガ銀行東京支店に都心営業部という組織があった。そこに所属する行員の一人が、セミナーの参加者を募るメールを、ジョージさんに繰り返し送ってくるようになった。
セミナーは「首都圏における一棟アパート・マンション経営」「区分から一棟へ収支改善」などと投資を勧誘していた。メールには「非常に人気のあるセミナーです。心よりご連絡お待ちしています」と書いてあった。
行員のメールには「各不動産会社から紹介いただいた物件情報」が数多く掲載されていた。例えば「千葉市○○区、満室想定利回りおよそ8.7%、売価7680万円」といった具合だ。最寄り駅、築年数、紹介会社連絡先も書いてあった。
都内、首都圏周辺だけでなく、…
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