熊野英生の「けいざい新発見」

経済成長率「日米で11ポイントの格差」その原因は

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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米国経済は成長を取り戻しつつある(バイデン大統領)=AP
米国経済は成長を取り戻しつつある(バイデン大統領)=AP

 日米間で成長格差が広がっている。2021年1~3月期の実質成長率は、米国が前期比年率6.4%の高成長だったのに対し、日本は同マイナス5.1%とマイナス成長だ。米国は大規模な財政出動と、ワクチン接種が進んだことによる安心感で消費が活発になったことなどの効果が出た。

 この成長格差は、日米のワクチン接種のスピードの違いにより、4~6月はいよいよ鮮明になりそうだ。

 日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査(5月)では、4~6月の予測値は何とかプラスが維持されて前期比年率1.84%である。しかしこの予測値は、4月調査時は前期比年率5.63%だったのが、5月調査で同1.84%に下方修正された。東京や関西などに緊急事態宣言が4月25日~5月31日(現時点)に発令され、個人消費などを抑制することが主因である。この変化幅から緊急事態宣言の打撃を推定すると、実額でおおむね5.3兆円の減少を引き起こした計算になる。

ワクチン接種者はまだ3%以下

 政府は、日本経済の停滞について、どういったメッセージを発すればよいのだろうか。その答は、多くの国民がワクチン接種できるまで「もう少し我慢して待ってほしい」と伝えることだろう。ワクチンが希望者全員に接種できるようになれば、いずれは飲食店の利用や旅行も自由になるだろう。

 半面、政府が胸を張って「待ってほしい」と言えないのは、ワクチン接種の準備が不完全だからだ。3600万人の65歳以上の高齢者に対しては、7月末までの接種完了の予定を伝えている。しかし、医療関係者や高齢者以外の国民の接種開始は明言できずにいる。高齢者の接種は、4月12日の開始から約1カ月間…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。