海外特派員リポート

「トランプ氏のアカウント凍結」でFBが苦悩するワケ

中井正裕・北米総局特派員(ワシントン)
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米フェイスブック本社の看板=米カリフォルニア州で2020年2月27日、中井正裕撮影
米フェイスブック本社の看板=米カリフォルニア州で2020年2月27日、中井正裕撮影

 ネット交流サービス(SNS)で人権侵害の深刻なリスクがある場合、国家元首が対象であっても投稿規制は「正当」だ――。

 SNS大手フェイスブック(FB)の第三者組織「監督委員会」は5月5日、FBがトランプ前大統領のアカウントを無期限で凍結した処分について、投稿規制を支持する判断を下した。

 ただ、無期限凍結については「FBの罰則規定に明記されていない」として、6カ月以内に投稿規則に基づいて、永久凍結、期限付きの凍結などを判断するよう求めた。FBと監督委が処分の最終決定に関する責任を押しつけ合った構図で、ボールを投げ返されたFBは再び難しい判断を迫られている。

二つの判断と一つの提言

 今回、監督委は二つの判断と一つの提言を示した。一つ目の判断は、トランプ氏への投稿規制は「正当」というものだ。

 1月6日に発生した米議会乱入事件では、「大統領選で不正が行われた」と主張するトランプ氏の支持者らが連邦議会議事堂に乱入。トランプ氏はSNSへの投稿で、乱入した集団に「偉大な愛国者」と共感を示し、「選挙不正」を主張し続けた。

 FBは翌7日、「トランプ大統領が利用を続けるリスクがあまりにも大きい」(マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者)として、トランプ氏のアカウントを無期限で凍結した。

 監督委は、トランプ氏の投稿が「選挙違反という根拠のない主張を繰り返し、行動を呼びかけることで、暴力の深刻なリスクを生み出した」と指摘し、「暴力の称賛や支援を禁止する規定に著しく違反した」と判断。FBによるアカウント停止措置は「正当」だったと結論付けた。

 監督委の二つ目の判断は、無期限凍結は規定にないことから、FB側に…

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中井正裕

北米総局特派員(ワシントン)

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。