職場のトラブルどう防ぐ?

カッとして「仕事のやりかた問いただす」はパワハラか

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 A男さん(46)は、従業員数約500人の商社の営業課長です。1年前に営業部全体で業務分担の見直しがあり、A男さんは最も信頼関係が深く、安定した取引先のM社の担当を、他部署から異動してきた別の課のB介さん(42)に引き継ぎました。ところが、3カ月ほど前、M社からA男さんに連絡が入りました。納品がスムーズにいってないようでした。

厳しい口調で問いただす

 M社は、A男さんが時間と労力をかけて取引を増やした重要な顧客です。連絡を受けたA男さんは、事を荒立ててはいけないと考え、昼食時にさらりとB介さんに「M社の納品はスムーズにいってる? 私の方に連絡があったけど」と聞くと、「やってますよ。もうすぐ納品の予定です」と返されました。

 B介さんは営業の経験は短いものの、社会人としてのキャリアはA男さんとほとんど変わらず、A男さんの部下でもありません。A男さんは注意は促せたと考え、それ以上はかかわらないようにしました。

 ところがしばらくして、再びM社からA男さんに連絡がありました。「御社の納品の対応が社内で問題になっています。なんとかお付き合いを続けたいと考えていますが、このままでは難しいかもしれません。どうにかなりませんか」と困った様子でした。納期が変更になったにもかかわらず、その連絡が遅れたそうです。

 これを聞いたA男さんはついカッとなって、B介さんの席に行き「M社の納期管理はどうしてるの?…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/