産業医の現場カルテ

“ラーメンと晩酌が大好き”50代営業職の「尿酸値」

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 産業医である私は、あるメーカーで営業職を務める岡野さん(仮名、50代男性)から相談を受けました。岡野さんが人間ドックを受けたところ、尿酸値が高かったからです。「以前、痛風になり仕事にならなかったことを思い出しました。その時は痛み止めの薬を処方してもらい、痛みが治まって以降は通院せず、自分なりに食生活は気をつけているつもりです」といいます。

一時的に激しい痛みがあっても……

 尿酸値の測定は、会社が行う定期健康診断の項目にありません。そのため、産業医が会社の依頼で行う健診の項目にも含まれません。岡野さんは、人間ドックの結果を見て自主的に相談に来てくれました。

 痛風は、体内の尿酸値が高い状況が続いた場合に発症する疾患です。体内の尿酸値が7.0mg/dl以上あると高尿酸血症とされ、関節に尿酸塩結晶がたまって炎症を起こすことで激しい痛みが生じます。主に足の親指のつけ根に痛みが出やすく、歩くことも難しくなることがあり、岡野さんのように仕事に支障が出ることもあります。

 痛風の治療では、まず痛みに対する薬物治療を行い、痛みが治まってから尿酸値を下げる薬物治療に移るのが一般的です。一時的に激しい痛みがあっても、それが治まると、自覚症状はほとんどありません。そのためか、痛風の発作を何回か経験していても、尿酸値…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。