経済プレミア・トピックス

シニア女性の心をつかむ「ハルメク」の三つの社内改革

田中学・経済プレミア編集部
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女性向け月刊情報誌「ハルメク」は発行部数が37万部を超える=ハルメク提供
女性向け月刊情報誌「ハルメク」は発行部数が37万部を超える=ハルメク提供

ハルメクの社内改革(上)

 50代以上の女性の心をグッとつかんで離さない企業がある。女性向け月刊情報誌「ハルメク」を軸に、アパレルや日用品など独自商品が約7割の通信販売やイベント事業などを展開する株式会社ハルメクだ。

 情報誌「ハルメク」は書店に置かない定期購読形式だが、出版不況といわれる中、発行部数が37万部を超え(2020年7~12月平均)、4年前の17年と比べて倍増している(日本ABC協会調べ)。情報誌に同封するカタログとECサイトがメインの通販事業も成長しており、同社の売上高は約121億円(20年3月期)で、今年度も前年度比で好調だ。通販事業が売上高の7~8割を占める。

 「新型コロナウイルス禍がフォローの風となって、われわれの成長は加速している」という同社の宮澤孝夫社長(64)の声をもとに、同社の成長の秘訣(ひけつ)を探る。

コロナ禍で過去最高の部数増

 同社のシニア女性に対する姿勢を象徴するのが、「スマホの使い方」を特集した情報誌の昨年8月号だ。顧客からスマホの操作でつまずく点を聞き出して特集の企画を立て、タップなどの操作方法に始まり、文字サイズや音量の変え方、Wi-Fiのつなぎ方、コピペの仕方といったことまで初心者向けに丁寧に解説。別冊の付録として「スマホのSOS解決ブック」もつけた。

 コロナ禍の自粛生活でスマホを持つシニア女性が増えたこともあり、同号は数万の新規読者を獲得。過去最高の伸びだった。自宅で雑誌を読む機会が増えたのも追い風だ。

 宮澤社長は情報誌について「例えば、スマホの使い方は他社の雑誌でも取り上げるが、われわれはシニア女性が地図アプリや電子マネーの使い方がわからないのだろうと、なんとなく想像して特集するのではない。実際に顧客にヒアリングして、何に困り、何を勘違いしているかを把握して作っている」と語る。

 情報誌は、健康や家事、食など生活にかかわることを中心に取り上げる。「ハルトモ」という約3000人の会員モニターを中心にシニア女性の声を生かし、読者モデルも誌面に頻繁に登場する。60代後半が中心読者層だ。

 なぜ、同社はこうしたスタイルで情報誌をつくるようになったのか。そこには同社が進めてきた“三つの社内改革”があった。その結果、シニア女性を巻き込んだ情報誌の企画や通販の商品開発ができるようになった。さらに顧客の声を聞いて商品などの質を高めていくサイクルが全社的に回っており、成長の原動力となっている。

「架空のシニア女性像」を打破

 実際に声を聞いて顧客を理解し、顧客の目線…

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田中学

経済プレミア編集部

1979年東京都生まれ。中央大文卒。出版社勤務を経て、2014年11月、毎日新聞デジタルメディア局に配属。