経済プレミア・トピックス

ハルメクがシニア女性と築き上げた「成功の方程式」

田中学・経済プレミア編集部
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ハルメクは座談会などでモニター会員「ハルトモ」の声を聞く=ハルメク提供
ハルメクは座談会などでモニター会員「ハルトモ」の声を聞く=ハルメク提供

ハルメクの社内改革(下)

 株式会社ハルメクは、50代以上の女性向け月刊情報誌「ハルメク」を軸に、アパレルや日用品など独自商品が約7割の通信販売やイベント事業などを展開し、業績が好調だ。同社の宮澤孝夫社長が「顧客理解」「ライフスタイル提案」「部署間の連携強化」の三つの社内改革を推し進めた結果で、新型コロナウイルス禍をも追い風とし、成長を加速させている(前回参照)。

 同社は社内改革を経て、顧客のシニア女性を巻き込んで情報誌の企画や商品開発を行うようになった。さらに顧客の声を聞いて商品などの質を高めていくサイクルを全社的に回せることが強みとなっている。

 今回は、顧客のシニア女性について「長い人生を工夫して過ごしてきた『人生の賢者』」と話す通販本部長、金山博氏(64)の声をもとに、同社がどのようにシニア女性に寄り添いながら商品開発を行っているのかを探っていく。

「三つの体型」の発見

 同社のヒット商品の一つが「3Dセリジエシリーズ」のパンツ(ズボン)だ。同シリーズは2016年に発売し、その年に約3.7億円を売り上げた。顧客のシニア女性345人の協力で得た体型の3D計測データをもとに商品化したものだ。

 計測データから、シニア女性はウエスト、ヒップ、大腿(だいたい)囲の3カ所をポイントにA体型、O体型、H体型の三つの体型があることがわかった。H体型であれば、3カ所に大きな差がない、ということだ。三つの体型の年代別の割合まで把握している。

 金山氏は「加齢とともに体型が変化していることがわかりました。アパレルはJIS規格をもとに作りますが、加齢による体型の変化を考慮していません。そのため、パンツをはくときにヒップに合わせるとウエストがぶかぶかの人がいたり、逆にパンパンの人がいたりしました。この三つの体型は発見でした」と話す。

 だが、この三つの体型に合わせたパンツを単純に売り出しても、顧客にはそのメリットがわからない。通販では試着ができないため、顧客が手を出しづらいからだ。

 そこで、再び顧客の協力を得て、身長別、体型別にシニア女性が実際にパンツをはいた姿をカタログの誌面で見せた。これをきっかけに、このパンツは大きなヒットにつながり、同社のアパレル商品のベースとなった。

 同社が開発から販売まで顧客を巻き込み、これまでにない新しい商品に対する顧客の不安を取り除いて提案できた結果だ。

「自分は中年」70代女性の一言

 体型の3Dデータを計測することになったのは、顧…

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田中学

経済プレミア編集部

1979年東京都生まれ。中央大文卒。出版社勤務を経て、2014年11月、毎日新聞デジタルメディア局に配属。