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女性の健康を科学する「フェムテック」と規制の壁

本橋敦子・毎日新聞経済部記者
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厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 女性の心身の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック(Femtech)」の認知度が日本でも上がってきた。フェムテックに参入する国内企業数が急増した2020年は「日本のフェムテック元年」と呼ばれる。履くだけで経血を吸収する生理用の吸水ショーツに記者(28)が出合い、使い心地に驚いたのも昨年だ。この調子で日本でも女性の選択肢が増えてほしいと思っていたが、さらなる広がりには課題もあるようだ。【本橋敦子/経済部】

「生理用品は白」?

 「生理処理用品は白色であり、においはほとんどなく、異物を含まない」「生理用のナプキンは、一般に使い捨てである」。厚生労働省が通知する「生理処理用品製造販売承認基準」など、生理用品関連の法令にはこんな文言が並ぶ。

 日本では、医薬品を製造販売する事業者は医薬品医療機器法(薬機法)に基づき、都道府県や厚労省の承認を得る必要がある。国内で広く流通している生理用の紙ナプキンは薬機法上の「医薬部外品」。こうした法律上の分類に適合すると認められて初めて「経血を吸収する」「漏れない」といった表現で製品の効果や効能をうたうことができる。

 一方、現在国内で利用者が増えている生理用の吸水ショーツや、膣内(ちつない)で経血を受け止める月経カップは白色の物ばかりでなく、洗って繰り返し使えることが人気を集めている。だが、こうした製品は薬機法上の位置づけが明確でないため、製品の効果を示す表現を使えない「雑品」として市場に登場している。

 生理用品だけではない。フェムテックが企業の福利厚生でも盛んに取り入れられている欧米では、膣内に挿入しておりものを分析することで妊娠しやすい時期を測定する機器や、尿漏れを防ぐための骨盤底筋のトレーニングを…

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本橋敦子

毎日新聞経済部記者

 1992年、茨城県水戸市生まれ。2015年、早稲田大学文化構想学部卒、毎日新聞社入社。仙台支局で東日本大震災の被災地を取材し、19年5月から東京本社経済部。コンビニや食品、商社業界など民間の現場を幅広く担当。20年4月からは通信、IT・デジタル業界、総務省を取材している。