高齢化時代の相続税対策

残りの人生は16年「易占い」信じる77歳の相続対策

広田龍介・税理士
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 不動産賃貸業を営むYさん(77)は、アパートやマンションなど賃貸物件計15件を所有しており、賃貸収入は年約1億円になる。Yさんは易占いを信じており、“残りの人生”はあと16年と考え、自分と家族の運気をもとにした相続対策を考えている。

トントン拍子の不動産賃貸業

 Yさんは30代でまだサラリーマンだったころ、知り合いの不動産業者から「いいアパートの出物があるよ」と持ち掛けられた。勧め通り、金融機関からの融資で物件を購入したことが、今に至る事業の出発点になった。

 早くから心掛けてきたのは、物件の「新陳代謝」だ。アパートの築年数が古くなれば売却し、新しいものに組み替えていく。これが功を奏し、稼働率ほぼ100%の好成績をたたき出すことができた。

 思えば、運気が強かったのだろう。その後はトントン拍子で事業が勢いづいていった。

 賃貸収入で手持ち資金がたまれば、アパートを買い増した。そうすると、資金力が付き、金融機関からの融資が受けやすくなった。地価が右肩上がりの時代で、地価が上がれば担保余力も増し、さらに借り入れがしやすくなる。こうした相乗効果がうまく働いていった。

 20年ほど前には、資産管理会社を設立し、アパートの建物部分をこの会社に売却した。所得税対策として不動産賃貸業を法人化したわけだ。ただし、土地は個人所有のままにしており、Yさんは資産管理会社から役員報酬と地代収入を得ている。

「運気」見ながら資産移転

 こうして自分が一代で築いた財産をどう引き継ぐべきなのか。Yさんは思いを巡らせている。

 Yさんに万一のことがあった場合、相続人となるのは、妻K子さん(76)と長男(50)、現在海…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。