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小出裕章氏「福島原発は石棺で閉じ込めるしかない」

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東京電力福島第一原子力発電所(上:2011年3月、下:21年2月撮影)
東京電力福島第一原子力発電所(上:2011年3月、下:21年2月撮影)

 2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の破局的な事故(フクシマ事故)の災禍は、今もなお続いている。放射能汚染水の取り扱いなどは今まさに直面している焦眉(しょうび)の課題だが、ここでは廃炉を完了させるに当たって避けては通れないデブリ(熔融<ようゆう>した核燃料と原子炉構造物等が混合した残がい)の回収が不可能である、という点に絞って記すことにする。

 フクシマ事故で問題となる核分裂生成物のうち、人間に対して最大の脅威となる放射性物質は「セシウム137」だ。日本政府によると、フクシマ事故では広島原爆がばらまいた168倍のセシウム137が大気中にばらまかれたという。「原子力緊急事態宣言」が当日発令され、その宣言は10年を経た現在も解除できないまま続いている。炉心には広島原爆の約7800発分のセシウム137が存在していた。

破損状況さえいまだ不明

 日本政府と東京電力(当時、現東京電力ホールディングス〈HD〉)は11年12月21日、フクシマ事故を収束させるための工程表(ロードマップ)を作成した。デブリをつかみ出し、安全な容器に封入し、30〜40年後にはそれを敷地外に搬出するという計画で、彼らがイメージしたのは1979年に米国スリーマイル島原発で起きた炉心熔融事故後の作業だった。

 しかし、スリーマイル島原発は米ウェスチングハウス(WH)社が開発した加圧水型軽水炉(PWR)を使っていたのに対して、福島原発は米ゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発した沸騰水型軽水炉(BWR)を使用していた。PWR型はBWR型に比べて圧力容器鋼材の厚さが厚い。そしてBWRの場合には圧力容器…

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