産業医の現場カルテ

リモート会議で「頻繁にトイレへ」33歳SEの腹痛の原因

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 A介さん(33)は、あるIT企業のシステムエンジニアです。現在は、会社の方針でほぼテレワーク(在宅勤務)をしています。産業医である私は、A介さんの上司から「リモート会議中にA介さんが離席することが多く、体調が心配」と相談を受け、A介さんと面談をしました。

腹痛が数日間続くことも

 会社は、業務の効率化のため「会議は1時間以内」にすることを推進しています。上司からは「メンバーのコミュニケーションを維持するためにも、週数回のリモート会議をしています。それほど長い時間でないのに、その間のA介さんの離席が目立ちます」と相談がありました。A介さんは離席してトイレに行っているようで、どのように指導すればよいかわからず、また健康面で問題があるのではないかと心配していました。

 A介さんは面談で「月に数日、腹痛で下してしまい、トイレから離れられなくなることがあります」と話しました。腹痛が始まると数日間続き、仕事に集中できないことも少なくありません。

 20代のころから、こうした症状がありましたが、自分の体質だと思っていました。毎日出勤していたころは、電車の中で腹痛が始まり、途中下車することがたびたびで、朝は時間に余裕を持って出掛けるようにしていました。

「過敏性腸症候群」およそ10人に1人

 私は、A介さんが過…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。