株主になったら

株主総会の質疑で役員が気にする「使えない」答弁とは

中西和幸・弁護士
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株主総会の会場への道順を示す案内=東京都新宿区で2021年3月18日、今沢真撮影
株主総会の会場への道順を示す案内=東京都新宿区で2021年3月18日、今沢真撮影

株主総会のリハーサル(3)

 株主総会で役員がもっとも緊張するのは株主との質疑です。質疑をうまくこなせると、株主や社内からの評価が高まります。逆に、質問と違う答えをしたり、話してはいけないインサイダー的な情報に言及してしまったりして、「あいつは使えない」とのレッテルを貼られることもあります。そうしたことのないよう、入念なリハーサルが必要なのです。

 会社としては決定していないことが観測記事として新聞に掲載され、株主総会で株主から真偽を問われることがあります。このとき、「私自身としてはやりたいと思っている」と答える役員がいますが、サービス精神が豊富なのも考えものです。決まっていないことに方向性を示すのは株価にも影響しかねません。

 私は「話を聞いているが、結論を出していない」とか「鋭意検討しているところです」といった回答をするようアドバイスしています。「話すことはありません」という回答は、木で鼻をくくるような印象を与えてしまうので避けたほうがいいと思います。

指が震えてページがめくれない…

 本番で議長役の社長が緊張して指が震えてしまい、進行のシナリオのページがめくれなかったり、余分にめくったりすることがあります。リハーサルではうまくいったのに、本番で議案上程を丸ごと一つ飛ばしてしまったこともありました。事務局のスタッフがメモを入れてすぐ訂正しましたが、一同、大慌てでした。

 株主から「急行が駅に止まらなくなり不便なので何とかしてほしい」(鉄道会社)、「商品の品ぞろえが少ない」(小売業)といった質問はよく出ます。株主というより消費者の立場での質問が続き、株主総会が消費者や近隣住民の苦…

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中西和幸

弁護士

1992年東京大学法学部卒。95年弁護士登録。上場企業の社外取締役、社外監査役を務め、企業法務に詳しい。共著に「会社役員の法務必携」(清文社)、「企業法務からみた株式評価とM&A手続き」(同)、「『社外取締役ガイドライン』の解説」(商事法務)、「企業不祥事インデックス」(同)など。