毎日家業×創業ラボ

江戸時代から続く歴代「半次郎」が導いた運命の道

清水憲司・毎日新聞経済部副部長(前ワシントン特派員)
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本店の工場に立つ染野屋の小野篤人社長=茨城県取手市で、小川昌宏撮影
本店の工場に立つ染野屋の小野篤人社長=茨城県取手市で、小川昌宏撮影

 茨城・取手を本拠地に、お豆腐を製造・販売する「染野屋」を継いだ小野篤人さん(48)は、移動販売をテコに、ありふれた「近所のお豆腐屋さん」を大きく飛躍させました。しかし、そこで立ち止まる小野さんではありません。大豆を活用した地球環境保全と、さらなる豆腐店の承継。江戸時代から続いてきた染野屋半次郎の八代目は、新たな夢を追いかけています。

「私の家業ストーリー」<4>染野屋・小野篤人さん

 1999年に妻の実家、「染野屋」を継ぎ、後継者不在だった本家筋の「半次郎商店」も承継した小野さん。10年たつ頃には、移動販売の軽トラを次々に増やして関東から東海へ進出を果たした。

 「あとはこの仕組みを全国に敷き詰めるだけ」。会社は上り坂のまっただ中だったが、途端に先が見えたような気がして、やる気が下がっていくのを感じた。「こんな気持ちで経営を続けて良いのだろうか」と鬱々とした。今から振り返れば、経営を軌道に乗せるため追い立てられていた日々が去り、新たに自分を奮い立たせてくれる何かを探していた。

 転機になったのは、2009年、長女の誕生だった。そしてこれを機に深刻化する地球温暖化や環境汚染の問題について学ぶうちに、「こんな時代に生んで申し訳ない」とも思うようになった。

 社会に影響を与えられる大人として、何もしないわけにはいかない。ある日、ポール・マッカートニーさんが、週1回、肉を食べるのをやめる「ミート・フリー・マンデー…

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清水憲司

毎日新聞経済部副部長(前ワシントン特派員)

 1975年、宮城県生まれ。高校時代まで長野県で過ごし、東京大学文学部を卒業後、99年毎日新聞社に入社。前橋支局を経て、東京経済部で流通・商社、金融庁、財務省、日銀、エネルギー・東京電力などを担当した。2014~18年には北米総局(ワシントン)で、米国経済や企業動向のほか、通商問題などオバマ、トランプ両政権の経済政策を取材した。