スルガ銀行 不正の構図

家電ノジマがスルガ銀に「別れ話」を突きつけた理由

今沢真・経済プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷
ノジマ店舗の看板
ノジマ店舗の看板

 スルガ銀行は5月27日、資本・業務提携している家電量販大手「ノジマ」の野島広司社長(70)が、6月末に同行の副会長を退く人事を発表した。野島氏は取締役も外れる。ノジマは同行の株式18.5%を保有する筆頭株主だ。ノジマと同行は今後、提携解消に向けた協議を進めるという。なぜ両社の間に「別れ話」が持ち上がったのか。

 まず提携の経緯を振り返る。スルガ銀行は2018年にシェアハウスをめぐる不正融資が発覚し、株価急落と信用不安に見舞われた。神奈川県が地盤で同行と営業地域が重なるノジマが株式市場でスルガ株式5%弱を取得し、19年5月に両社が業務提携で合意した。

 同年10月には、不正融資の根源だと指摘された同行の岡野光喜前会長ら創業一族と同族企業が保有する同行の株式13.5%を、ノジマが約140億円で追加取得した。翌20年6月に野島氏がスルガの副会長に就任し、「金融と小売りを融合する共同事業」を進めるとしていた。

提携の具体策打ち出せず

 最初の提携合意から2年、ノジマが筆頭株主になってから約1年半たつ。この間、両社の業務提携は進まなかった。実現したのは、スルガ銀行の顧客への郵送物にノジマ店舗の割引チラシを入れるぐらい。「金融と小売りの融合」は具体的な施策がないまま遠のいていった。

 関係者によると、ノジマ側はスルガ銀の店舗網をフルに活用して共同事業を進めたい考えだった。スルガは法令順守を徹底させて不動産融資を含めた業務を再開している。その営業活動に拍車をかけ、それをテコに具体的な提携策を実現しようというのだ。ところが、不正融資の後始末に追われるスルガ銀側は、ノジマの要求に応えられなかったという。

 具体策を打ち出せないスルガ銀に対し、1年前の20年春、ノジマ側は株主総会に向けて社長候補を推薦し、経営の実権を握る構えを見せた。だが、スルガ銀の執行部はこれをのまなかった。結局、野島氏の副会長就…

この記事は有料記事です。

残り782文字(全文1580文字)

今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。