ミレニアルの地図

私はこうして会社から「自由」になった FIREを選んだ人たち

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 「FIRE」(ファイア)という生き方を聞いたことがあるだろうか。「Financial Independence, Retire Early」(経済的自由、早期リタイア)の略語で、株式投資などで若いうちに資産を蓄積し、会社を退職して自由に生きるライフスタイルのことだ。いま、若者中心に脚光を浴びつつあるという。いったいどんな人が、どんな思いで? 当事者を直撃した。【松岡大地、加藤美穂子/経済部】

入社時から思い定め

 「思い描いていた通りと言うか、自分がこういうふうにありたいと言うか、朝起きて、やりたいことをやるという生活を送っています」

 穂高唯希さん(32)は株式投資などで資産を積み上げた結果、月額平均20万円の配当を得られるようになり、2019年に30歳で大手企業を退職。今は関東を拠点の一つとして暮らしている。20年に出版した「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」(実務教育出版)は、発行部数が7万部に達した。現代の人が抱える生きづらさへのヒントを投げかけているのかもしれない――そう考え、本人に取材を申し込んだ。

 穂高さんは有名私立大卒業後、大手企業に就職したが、入社初日から違和感を抱いた。背景には大学時代の北京大留学の経験があったという。「日本では大学卒業後は就職活動するのがほとんどですが、海外では数ある選択肢のうちの一つに過ぎません。組織で『正解』とされるような立ち居振る舞いにも息苦しさを感じ、自由に生きていこうと思いました」

 穂高さんは幼少期に家族を亡くした。「人はいずれ死ぬということは頭の中で分かっていますが、身近な人が亡くなり時間の有限性を感じたことは大きかった」。いつ人生が終わるか分からないことを肌で感じていることが、自由を目指す原動力になったわけだ。

 経済的な自由を得るために取った行動は、日々の節約に加え、主に…

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