株主になったら

「後継者は?」株主に質問された創業会長“激オコ”

中西和幸・弁護士
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東芝の臨時株主総会の会場前に張られた「検温実施」の告知=東京都新宿区で2021年3月18日、今沢真撮影
東芝の臨時株主総会の会場前に張られた「検温実施」の告知=東京都新宿区で2021年3月18日、今沢真撮影

株主総会のリハーサル(4)

 私たち企業法務専門の弁護士が、事前に模範回答を作りにくい株主総会の質問があります。それはガバナンス(企業統治)に関わる質問です。その典型的な質問が、役員の人選です。最近は女性役員、社外役員に関する株主からの質問が多くなっています。回答は役員と社内のスタッフで事前に考え、用意してもらわなければなりません。

 株主総会は、通常は壇上に取締役全員が並びます。女性の取締役がゼロだったり、明らかに少数だったりすると、株主から「なぜ女性の役員が一人もいないのか? こんなに少ない理由は?」といった質問が出ます。会社の内情をよく知っている株主が「幹部にも女性が少ないのはなぜか」と聞くこともあります。

 この質問にはきちんと答えなければなりません。そうでないと「今までなぜ女性を活用してこなかったのか。育ててこなかったということか。男の都合で人事を続けてきたのでは?」と重ねて問われることになります。

 この質問にはたいてい、社長か人事担当役員が回答します。私たち弁護士は率直に回答するようアドバイスしますが、回答の中身は自分たちに考えてもらいます。会社の役員人事には、過去から現在までの人事政策が色濃く反映しているので、弁護士が回答を考えることは難しいです。

 ですが、例えば「現在、このような形で幹部に登用しており、何年かたてば女性幹部が取締役に起用されることもあるでしょう」といったように、丁寧に回答してもらうことが多いです。現状どうかという説明から将来の見通しや理想などといった、株主に納得してもらいやすい要素をピックアップしてもらいます。

旧財閥系の社外取締役

 社外取締役の…

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中西和幸

弁護士

1992年東京大学法学部卒。95年弁護士登録。上場企業の社外取締役、社外監査役を務め、企業法務に詳しい。共著に「会社役員の法務必携」(清文社)、「企業法務からみた株式評価とM&A手続き」(同)、「『社外取締役ガイドライン』の解説」(商事法務)、「企業不祥事インデックス」(同)など。