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共働き夫婦の子「健保の扶養に入れない」なぜ起きた?

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 夫婦共働きの世帯が増えている。夫婦の収入が同水準の場合は、税や社会保険について、子どもをどちらの扶養とするか判断が分れることがある。特に健康保険では、夫婦それぞれの健保組合がともに扶養をなかなか認定しない場合、子どもが一時的に「無保険」になってしまうことが問題になっていた。厚生労働省は36年ぶりにルールを見直し、8月から運用を始める。

「自由に選べる」所得税の扶養

 扶養とは、家族の生計を担う人(扶養者)が、配偶者や子どもなど収入の少ない家族を経済的に支えることをいう。所得税や社会保険では、課税所得を軽減したり、保険料を免除したりする仕組みがある。

 「夫婦と子ども」の家族で考えよう。片働きで「夫だけが働いている」場合は通常、子どもは夫の扶養に入る。だが、共働きでの場合は、どちらが生計を担うかはあいまいになり、子どもをどちらの扶養に入れればいいか微妙になることがある。

 一口に扶養と言っても、所得税と社会保険では、扶養に入れることができる要件に違いがある。所得税と社会保険のそれぞれで、具体的にみていこう。

 所得税では、配偶者以外で生計を一にしている親族の年間所得が48万円以下(給与収入だけなら年収103万円以下)の場合、「扶養親族」にすることができる。扶養親族の年齢や同居の有無などにより、扶養者の所得から決まった金額を控除することができる。

 税法上、共働き夫婦の場合は、子どもはどちらの扶養に入れてもいい。ただし、子どもが16歳以上の場合は、一般に所得の多いほうの扶養に入れた方が有利になる。

 扶養親族は、16歳以上で38万円、19歳以上23歳未満は63万円の所得控除がある。所得が多…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。