職場のトラブルどう防ぐ?

「パワハラ上司とモラハラ夫」32歳女性が陥った苦境

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 A美さん(32)は、従業員数約500人の会社でITシステムの提案販売をする営業部に所属しています。約2年前に今の会社に転職し、入社後に以前勤めていたIT企業の同僚と結婚しました。当初は、これまでのキャリアを生かした新しい職場での仕事と、気心の知れた配偶者を得て希望に満ちあふれていましたが、A美さんは現在、メンタル不調で休職しています。A美さんに何があったのでしょうか。

新しい職場のやり方に慣れず……

 A美さんの生活環境は、転職と結婚を機に変わりました。仕事面では、業務の進め方が大きく変化しました。前の会社では担当者の裁量が大きかったのですが、今の会社は業務の工程管理を徹底しており、上司への報告や仕事のやり方などが細かく決まっています。従業員の生産性を上げることを重視しているからです。

 各従業員の生産性は、管理職の評価に直結します。A美さんの上司は仕事のやり方などを指導しますが、A美さんがなかなか慣れずにいると「これまで何をやってきたの? そろそろうちのやり方に慣れてもらわないと困る」などと言いました。ミスが重なったときは「新入社員レベルの仕事もできない人がいる」と、A美さんがいる前で周囲の同僚たちにため息まじりで言うこともありました。

 A美さんは、徐々に上司の顔を見ると気分が悪くなるようになり、朝もなかなか起きられなくなりました。ただ、たまには会社を休んでゆっくりしたいと思って…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/